前のお話
-
上の空の上|第5話|大切な人を看取った記録|005
続きを見る
第6話
足元を狂わされるほどの
猛烈な雨足
まるで軍隊の行進みたい
動きに一切の迷いがなく
入り込む隙がない
それはそれは
すごい大群で
途切れることなく
どこまで続く
そこに容赦なく
機嫌の悪い雷が街の隅々まで
爪痕を残す
理由はわからないけれど
とにかく空が怒っている
私何か怒らせるようなことしたかな
紫外線を嫌って
せっかく出てくれた太陽を
避けて歩いたこと
バチが当たったのかな
あぁ
傘が壊れそう
この一瞬
また次の一瞬
私を横切り
追い越して
しまいには置いていく
お願い
置いていかないで
次のお話(第7話)
-
上の空の上|第7話|大切な人を看取った記録|007
続きを見る