前のお話(第10話)
-
上の空の上|第10話|大切な人を看取った記録|010
続きを見る
第11話
私達は
引き返せない
一本道を歩く
どんどんと
道幅が狭くなる
そこには
道路標識も
交差点もない道
もう二度と迷うことも
迂回することも
スピード違反で捕まることもない
迷うことは
迷えるということ
憤りや葛藤ですら
今は輝いて見える
この
平坦な
何もない道
だけどこんな時こそ
生涯枯れることのない
美しい花が咲いていることを
私達はもう知っている
全ての意識を
手繰り寄せる
どんな小さな花も見逃さないように
この小さな花が
この先の私をきっと支えてくれるから
貴方に怒られそうなくらい
だらしなく
だらだらと歩いて
時間を稼いだけれど
もうこれ以上進めないところまで
来てしまったみたい
次のお話(第12話)
-
上の空の上|第12話|大切な人を看取った記録|012
続きを見る