上の空の上|第4話|大切な人を看取った記録|004

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第4話

 

私の他愛もない日常に

貴方が望むことの
殆どが詰まっていて
私は後ろめたい気持ちになる

口癖のように
旅行に行きたいと呟いていたのに

いつのまにか

どこか行きたい
家に帰れればいい
少しでいいから外の空気が吸いたい

みるみるうちに
何かが遠ざかっていく

部屋の隅っこで
貴方のお気に入りのペタンコ靴が
お行儀良く
ずっと待っているんだよ

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