前のお話
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上の空の上|第1話|大切な人を看取った記録|001
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第2話
私に気付くと
貴方はまず笑って
その後決まって
天気の話をする
食べることすら生活から排除され
毎日毎日同じ景色を眺める日々の中で
病状に関わることを除けば
この部屋に訪れる変化は
天気くらいしかない
そんな簡単なことに
やっと気付いたのは
梅雨になってからだった
いつもいつも天気の話ばっかりだねーって
私はなんて間抜けなんだ
追いつけないほどの変化が
突然
私を襲って
時間が足りないと
もがいて
息切れして転んでも
昨日と今日に違いがあることの愛しさを
噛み締めなくてはいけないんだ
あのね
私
貴方が新しいパジャマを着ていると
嬉しかったんだよ
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上の空の上|第3話|大切な人を看取った記録|003
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