日記 /2021.3
ジョージアに来て一年が過ぎた
そのほとんどを黒海沿いのバトゥミで過ごしている
朝カーテンを開けて
見慣れない風景に驚くことは
もう、ない
1年経ってここが私の居場所だと思えるようになった
この冬も何度か雪が積もった
今は完全に溶けて少しずつだけど
街中に花の匂いが漂っている
春になったり冬に戻ったりしながらジワジワと完璧な「春」になっていく
行ったり来たりする季節のいたずらに日本を思い出す
少し帰りたくなる
この街にも四季がある
それがとても嬉しい
去年ジョージアに来てすぐに国際線が止まり帰国難民になった
無理すれば帰れたんだけど、移動が怖くて帰らないことを選んだ
ほんの少しの旅行のつもりだったのに人生は本当に分からない
だけど人生初のロックダウンが
犬や猫、鳥、とにかく動物ががたくさんいるこの街で本当に良かった
新しいウイルスは思った以上に深く早く世界を変えた
「不安」がそこらじゅうでショートしていた
そして初めて、人種差別を受けた
その時の相手の眼差しは今もはっきりと記憶している
怒りより悲しみと悔しさが大きかった
ジョージアの人たちは本当に親切な人が多いから
余計に悲しかった
誰がこんな世界にしたんだーと叫びたくなった
あぁそうかあの人もそんな思いでその矛先が私だったのか・・・と思った
そんな中、突然、
六分咲きの桜を見つけた
地元の人が目分量で適当に停めている駐車場の脇に
一本だけ桜の木が植えられていた
私は何故か泣いてしまった
日本で当たり前のように見ていた時は
「花見って楽しいけど、毎年寒いんだよなぁ・・・」と文句を言っていたくせに
それから毎日
桜を見に行った
海風が強くて心配した日もあったけれど
桜は無事に満開になった
あれからもうすぐ
一年
あの桜は今年もまた咲くのだろうか
最近少し暖かいし
そろそろ見に行ってみよう
それにしても、私は本当にこの街が好きだ
私は外国人だから
いつまでもここにいられるわけじゃない
ビザが切れるまで
まるでシンデレラの魔法のようにここにいることを許されている
だから
あの夜、王子様と踊っていた時のシンデレラのように
思い切り楽しんで
噛み締めて目に焼き付けて
日本に帰ると決めている
今夜もこの街では花火が上がっている
何でもない日でもこの国では花火があがる
それは子供が誕生した家族がその日の晩に花火を打ち上げる習わしがあるから
なんて素敵な風習なんだろう
いまだに一発目の大きな音には驚いてしまうけれど
花火があがるたびカーテンを開けて「おめでとう」と言うようにしている
ベッドに横になった後は布団の中で呟いているだけだけど(笑)
ごめんなさい!
美しい朝焼けと美しい夕日が1日の始まりと終わりを告げるこの街で
私は今日も絵を描いたり犬と遊んだり
貴方を思い出したりしている
旅に出た時の気持ちを書いた日記はこちらです
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あれから|長い旅の始まりに|上の空の上のその先で
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